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2005年01月27日

知識の差分

「知識の差分」

実はこの原稿は担当の部長からちょっとサンプルを書いてくれとの依頼で、仮想
読者に向けて、独り書いている。執筆段階ではWebサイトがまだできていなかっ
たりする。こういう時に書き手が考える問題は、読者がテーマについて、どのく
らいの知識を持っていて何を求めているのか、ということだ。

例えばP2Pという言葉を説明なしに使ったりしてよいものなのかどうか、定義ま
で書くのは冗長なのか適切なのか、といったこと。読者と私の知識の差分量を見
積もらなければならない。

人工知能の権威であるマーヴィン・ミンスキー教授の名著「心の社会」の中で差
分エンジンという言葉が使われている。現在の状態と、目指すべき状態の差分を
ソフトウェアが発見し、その差分を埋めるように振舞う仕組みを、知識エージェ
ントの動作原理、つまりエンジンとする考え方だ。

私の仕事はコンサルタントだ。クライアントと私の知識の差分量を経済的価値に
変換する仕事をしている。情報や知識の差分が私とクライアントの間で、平準化
されてしまうとコンサルタントとしての私の価値がなくなる。だから日夜新しい
情報を仕入れて差分を大きくすべく、情報の収集に必死に励んでいる。

インターネットは情報交換を促進し、あらゆる分野でこの差分を小さくしていく。
情報で稼ごうと思う人間にとっては結構辛い世の中だ。私も、また、差分エンジ
ンの社会システムにどっぷりはまってしまいながら、このコラムを書いている。

・マーヴィン・ミンスキー「心の社会」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4782800541/daiya0b-22/

投稿者 webmaster : 2005年01月27日 14:22

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