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2005年01月27日
パフォーマンスアートとしてのアイデアマン
■パフォーマンスアートとしてのアイデアマン
アイデアマラソンの提唱者、樋口健夫氏は、毎日、発想のメモをノートに記述されている。1984年1月に開始して2003年11月末までの20年間で、276冊のノートに17万6000個以上の発想を記録しているという。この偉業は発想メソッドとして体系化され、文庫書籍にもなっている。まだ半分も読んでいないので、アイデアマラソンというメソッド概要の説明を目次レベルで知って考えたことを書く。
このアイデアマラソン、紙のノートでは検索性が悪そうに思うのだけれど、恐らく、メモの集積よりも、アイデアを常に生み続けられる著者の能力こそ重要なのではないかと感じている。このメモの集積は、使えるデータベース構築というよりは、オンデマンドにアイデアを産み出せる頭を作るための練習の記録なのではないだろうか?。
研究職であれば、研究しアウトプットの集積を作ること自体が仕事実績と認められそうであるが、一般の営業や営業、企画では、ジャストタイミングで最適なアイデアを提出することが、アイデアマンとしての重要な資質になるだろう。メモの大量の集積をすべて頭の中に持ち歩くわけにはいかない。アイデアマンはパフォーマンスアートと考えた方が良い気がする。
■腕時計型PCの経験と即席ウェアラブルアイデアマン
PDAやノートパソコン、持ち歩ける手帳。モバイルツールは、ある程度までこのパフォーマンスを支援する武器だと思う。私は以前、Ruputerというセイコーインスツルメンツの腕時計型PCを愛用していた時期がある。
当時は3メガバイトのデータをディレクトリに分類して持ち歩いていた。内容は、過去数年分の書いた原稿で、文字量に換算すると、日本語で150万字、400字詰め原稿用紙に換算して3750枚分に相当した。この原稿を腕時計型PCで全文検索することができた。
例えば会議やパネルディスカッションの最中に、腕時計を見る振りをしてデータを参照することがでる。WindowsCE端末にせよザウルスにせよ、PalmPilotにせよ、PDAを取り出してしまうと、「あ、データを参照しているな」と周りに分かってしまうが、腕時計にしか見えないRuputerなら誰もデータを参照しているとは気がつかない。「その分野だとこんな事例がありますね。ご存知ですか?」と10個も20個もデータを暗唱して見せることができて愉快だった。
■情報を近い場所に置くことでつながり、発想が生まれる
多分、実力以上にアイデアのある人と思われたに違いない。当時の市場価格で1万5千円は安かった。ただ、この腕時計を忘れてくると、話ができなくなってしまう。いつでも参照できると思うと、記憶を怠る。
情報同士がいかに近い場所にあるかによって、新しい発想がでる確率が高まると漠然と考えている。スタンドアローンのPCにある情報同士より、ネットワークでつながったPCの情報の方が、新たな発想につながりやすいと思う。究極は、脳内で記憶しておくことだと思う。シナプス通信はADSLやBフレッツよりもずっと速いからだ。
それゆえ、腕時計PCはしばらく使っていない。時計としてデザインがいまひとつだったこともある。だが、あの便利さ、パワーアップ度は素敵だった。ウェアラブルPCは、パフォーマンスアートとしてのアイデアマン量産に役立つものと思う。
次は、必要な情報をメモ集積やネットワークから自在に取り出して、耳元でささやくデバイスや、TPOに反応して眼鏡に半透過で関連情報が投影されるような、見た目も洗練されたウェアラブルデバイスの登場を願いたい。
投稿者 webmaster : 2005年01月27日 14:25